2020年の秋

近江八景を行く(3)石山秋月 その3

 現地訪問 2020年11月28日 午前11時30分~曇り一時雨

 瀬田の唐橋西詰から川沿いの422号線を下流に進むと右側にすぐ石山寺の山門が現われた。

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   山門前の石山寺石柱           本堂内部の紫式部源氏の間

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 地図上に赤太下線を付した所が石山寺瀬田川に面している。対岸は大津市瀬田地区で岸辺の道路は瀬田唐橋東詰から南下して続いている〈夕照道路〉ある。
 近江八景の内、石山秋月、瀬田夕照、矢橋帰帆、粟津晴嵐の4景(赤下線)が琵琶湖南湖と瀬田川沿いの狭い地域にかたまっている。

 グーグル鳥瞰図では瀬田川最上部に唐橋が見えている。また石山寺の背後には丘陵地が続いているのが良く分かる。

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      石山寺山門          山門内の参道(紅葉が綺麗)

 山門に入ると目の前に真っ直ぐ続く石畳の参道が現われた。何度も来ているがいつも心を洗われるような気分に襲われる場所である。参道だけが平坦でそこから本堂に上がる石の階段が見上げるように待ち構えており、決断を迫られた。10年前までは何とも思わなかったが米壽の誕生日を迎えて足腰は勿論の事、体力・持久力に自信がなくなり、しばし上を見上げて気持ちを整理した。ここまで来たのであるから覚悟して来たはずと自分に言い聞かせて石段に挑戦し、頑張って本堂下の境内広場に辿り着いた。

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   石山寺本堂と小階段        本堂下境内広場と硅灰石塊(左側)

 此処までが精一杯で本堂を前にして登壇を諦め、昔は平気で登った月見堂や鐘楼や多宝塔のある高地は下から見上げるだけで我慢した。境内に露出している硅灰石の塊を観ながら高所に登った同行の娘夫婦の合図に応えながら山頂を眺め、樹間を焦がす仲秋の名月を偲びつつ紫式部源氏物語を回想した。帰りの階段道もかなり急峻であったが杖を使って一歩一歩注意深く下り、参道に至ってほっと一息の石山寺詣を終了した。

 近江八景巡りを思い立って現地を訪れ、これまで気が付かなかった景色や詩情が新たに浮かび上がって来たのが何とも嬉しい事だとの思いを満喫した。