2020年の秋

近江八景を行く(6)唐崎夜雨 その3

跡地訪問 2020年11月27日(金) 16時 天気快晴

 近衛信伊の和歌近江八景で〝夜雨〟が詠まれた唐崎神社はJR湖西線唐崎駅の東南東凡そ700mの琵琶湖湖岸にあり、西近江路(558号線)脇外れの駐車場に車を入れて徒歩数分で神社前に到着した。

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下図中央上部の空きスペースが駐車場で人家の間を暫く歩くと湖岸に面して赤い鳥居の唐崎神社が現われた。 

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 湖岸に面した境内奥右側の広い敷地一杯に樹勢の衰えた巨松が鳥居囲いの中に枝を広げて立っていた。唐崎神社の3代目霊松である。歌川広重の描いた2代目松から明治20年(1887)に実生して引き継がれた3代目の唐崎の松である。従って樹齢は133年であるが、樹勢は芳しくないように見受けている。江戸時代の初代・2代と較べると枯れ方が早いのではないかと感じている。

 訪れた日は天気が良かったため雨の風情を感じる事がなかったが、近江八景で今に引き継がれている景観の貴重な姿を見ることが出来た満足感を味わった。

 

唐崎の松 (3代目)霊松 唐崎神社境内

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  琵琶湖を背に立つ唐崎夜雨の石標

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  唐崎の松の前に立つ〝唐崎の夜雨〟の石柱      上写真 明治初期の2代目唐崎の松
                                 長崎大学付属図書館蔵


芭蕉の句碑   囲いの中の一角に芭蕉の句碑がある。

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 貞享2年(1685)芭蕉42歳の「野ざらし紀行 」の折、〝湖水の眺望〟と前書きして一句を詠んでいる。

     辛崎の松は花あり朧にて  芭蕉