2020年の秋
近江八景を行く(8)比良暮雪 その1
跡地今昔 2020年11月27日(金)山麓訪問 天気快晴
冬季の比良山系雪景色・昔も今も変わらない。
近江八景の中で比良山の暮雪風景だけは昔も今も変わらない。麓の風景を外して比良暮雪の景観は語れないが、せめて山頂の景色だけでも当時を偲びたい気持ちで下に写真を掲載した。近衛信伊はこんな雪山の情景を眺めて比良暮雪の和歌を詠んだのであろうと想像した。
桃田柳栄 比良暮雪(部分・堅田落雁と連続画)貞享元年(1684)大津市歴史博物館企画展近江八景より
上の絵は桃田柳栄の近江八景画巻の部分であるが比良暮雪と堅田落雁が一体画として描かれている。比良暮雪の和歌の左方向に連なる山並みが比良山系で白い雪に覆われている。
堅田の浮御堂に舞い降りる雁の群れは比良山系から飛んできたという構図である。 近衛信伊の和歌よりも雄大な冬山の情景が 描かれている。
藤井重好 比良暮雪(部分)宝暦5・6年(1755・56)大津市歴史博物館企画展近江八景より
江戸時代中期の画家が描いた近江八景画巻の比良暮雪部分である。近衛信伊の和歌の意を汲んで花を落とした梅の木らしき樹木が雪と馴染んでいる情景が描かれている。
近代の絵画と絵姿
野村文挙 近江八景図 明治32年(1899) 明治大正期の近江八景絵葉書 比良暮雪
上は共に明治期以降における比良山の情景である。野村文挙の絵は比良山の雪景色であり、絵葉書の方は山に残る雪の情況から初春の湖岸風景であると考えられる。